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Channel: 地酒屋こだま TAKE’s ROOM
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僕が酒屋として、この業界を変えたい、いくつかのこと。

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・・・・・って



今年初めての更新だったりして(爆



おかげさまで忙しくて楽しい毎日を送らせていただいております。ツイッターや地酒屋こだまHPでは毎日それなりに発信はしているのですが、こうしてある程度の量の文章を書く余裕がいつの間にか失われていたようです。まぁ、無理に書いて内容が薄くても仕方ないしね。これからも気の向くままに書きたいことがあれば書くって感じのマイペースでいきますのでよろしくお願いします。



僕が酒屋になってこの6月で4年になります。

少しずつ、本当に少しずつではありますが、この「日本酒業界」が見えてきました。まぁ、意外にいろいろあります(苦笑)もちろん新参者の未熟者ですのでまだまだ見えてないこともたくさんあると思いますが、それでも僕なりに肌で感じて「やだなぁこの業界」と思うことがいくつかありました。


たとえばそのひとつ。

この業界、蔵元の立場が弱すぎます。


えっ?と思います?

その通り!と思います?


一部の「売れてる蔵元さん」はある程度強気の営業もできるのでしょうけれど、少なくとも僕の関わるような小さな規模(取引の有無に関わらず)の蔵元さんは大なり小なり、そんな感じです。



酒販店(酒屋)>蔵元



すごく嫌だけど、こんな図式を随所で感じます。

なんかね、酒屋が偉そうなんですよ。

酒を売ってやってる、そんな気持ちを持ってるとしか思えないのです。


酒屋都合の返品が当たり前のように行われていたり、

蔵元の意向を無視して酒屋オリジナルの酒を無理に出させたり、

取引先の飲食店に乞われるままに蔵元の意向と違う酒を造るように強要したり。


僕はこちらの都合で返品したことは一度もない。

僕はオリジナル酒をいくつも扱ってるが、その酒が「その蔵の未来にどのような意味を持つか」のビジョンを描いた上で蔵元と協議を重ねてお互いが「いいね!」と思えて初めてスタートしている。

僕は取引先の飲食店に「○○で昨年みたいなタイプが欲しい」と言われたら「今期の○○はこういったビジョンに沿って昨年と違う酒を醸しているので今期はそのタイプはない。その代わりに今期の△△がそれに近い感じなので試して貰えないだろうか?」と提案をする。


町の中にある普通の酒屋ならいざ知らず、地酒をきちんと扱っていることを前面に出している酒屋はこの程度のことはきちんとしなくてはならないと思うのです。


蔵元には「下手なことを言って取り引きを打ち切られたらどうしよう」という不安な気持ちがあります。オレのことを理解できない酒屋なんかこっちから願い下げだ!なんて強気に思える蔵元はごく一部なのです。蔵元の「酒を売ってもらっている」という気持ちを悪用して支配下に置いているとしか思えません。


ホントにこの業界、蔵元の立場が弱すぎます。


さらにもうひとつ。



試飲会(主催者)>蔵元



特に首都圏では数百人以上を集める試飲会が数多く開催されます。

ふだん会えない蔵元や造り手が何十と集まりそのお酒に纏わる話を聞きながら試飲ができるという実に楽しいイベントがたくさんあります。実はそんな試飲会の中には蔵元への支払いが一切ない、すべて蔵元の持ち出しなんて会もあるのです。


えっ?来てもらってギャラもなし?


いえいえ違います。

ギャラがないのは当たり前。

それどころか、


・出展料を蔵元に支払わせて

・当日出すお酒をすべて蔵元に無償で協賛させて

・さらに参加者へのお土産のお酒もすべて蔵元に無償で協賛させて


そんな会も堂々と存在します。たしかに蔵元はその会に出展することで名前は売れるというメリットはあり、お互いにその契約で納得している以上、周囲がとやかく言うことではないのでしょう。ただいくつかの蔵元とその会の話になった時に「やめたいんだけどね、いまさら断れないんだよ・・・」と愚痴られたことがあります。


それにしても蔵元から全てのお酒を無償提供させてさらに出展料まで取って、その上でお客さまから会費を頂戴して・・・・・商売として考えると凄いとは思いますが、これが「正しい形」だとは到底思えません。いくら崇高なお題目を唱えていたとしても結局は金儲けかよ、とガッカリしてしまいます。参加する方にはまったく見えない部分なので、「あのイベント、料理もいいしお酒のお土産まで貰えていいよね」とか笑顔で言われると実に微妙な気持ちになります。


*あえて名指しは避けますが、そういうお金儲けイベントやってる方に「アル添酒フェスティバル」を批判とかされると実に腹立たしいのですね。貴方がたの想いは崇高で心から賛同し尊敬もしています(これは本当に本音なのです)。でもね、蔵元ばかりに負担を掛けるそのスタイル、もう古いですよ。一日も早く「関わるみんなが心から笑える」イベントに変化して欲しいものです。


明るい兆しといえば、ここ10年ほどの間にスタートした新しい会は蔵元に負担を少なくしていこうという意思を感じるものが多くなりました。手前味噌ですが、僕が関係している会(僕が主催の会はもちろん、たとえばアル添酒フェスティバルや四谷の大長野祭りなど)は100%のお酒を買い取っています。実は運営してみると分かりますが、大きな会場を借りて蔵元にきちんとお金を支払って会を開催するのってかなり大変です。少なくともまったく儲かりません(でも赤字にはなりません)。


でも、やりがいはあります。それが僕らの原動力なのです。


日本酒を愛する飲み手の方にお願いしたいのは、その会が本当に「蔵元も笑っている会」かどうかをきちんと見極めて参加して欲しい、ということ。蔵元にきちんとお金が入らず負担ばかり押し付けている会なんて、そんな馬鹿な話がありますか?蔵元はそう思ってもなかなか言えないんです。それを日本酒を愛する飲み手の方には分かって欲しいのです。



いろいろなことを書いてきました。

蔵元の立場が弱いこと、実は蔵元自身にも原因の一端があります。言い方を変えれば、蔵元自身が招いてしまった問題でもあるのです。だから蔵元もきちんとした意思を持って変わらなくてはならない、そう思うのです。


そんな筋の通ってない諸問題を、内側から変えていきたいと思っています。

小さな小さな存在ですが、心ある飲み手のご支援をどうかよろしくお願いします。



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