大きな大きな喜びと、ほんのちょっぴりの緊張感が、
暖かくて素敵な時間を紡いでくれたような気がしています。
・・・田舎の小さな蔵が、ずいぶんセンスのいい酒を造ってるなぁ・・・
笹の譽と初めて出逢った時に思ったのは、正直そんなことでした。
東京で毎年行われる長野酒メッセにも出てこないし、東京で取り扱う店も皆無。
ただ、その酒からは得体の知れぬ潜在的なパワーを感じたのは確かでした。
そしていつしか、松本にある蔵に足を運んでいました。
既にその時、僕はササイヤスオに惚れていたのかも知れません。
そしてそれは、蔵を訪れた時に現実のものとなりました。
造りのほぼ全量を、3~400Kgという「超」小仕込で行います。
現在の石数は300ちょっと。年間の仕込み本数は60本ちょっと。
それをなんと全量、手間の掛かる袋吊りで搾っています。
簡単に言うとそういうことなんですが、これはとんでもない非効率。
造りを知る立場からいうとまさに狂気の沙汰。
こんな会社、僕だったら絶対に就職しない(爆)
誤解を恐れずに言うと、まだまだ毎年ブレまくる未完成な酒です。
しかし酒ひとつひとつから感じるメッセージがあまりにも強烈です。
それぞれの酒に込められた「想い」がきちんと伝わってくる酒なのです。
そんなストイックなササイヤスオを信州松本からお招きして東京ではもちろん、長野県外では初となる単独でのお酒の会を開催することができました(有り難くかつ光栄なことです、感謝)。会場は先週の北安大國に引き続き、OPEN以来ずっと笹の譽を大切に扱ってくださっている水道橋の海山和酒なるたかさん。写真向かって左が店長の阿久津さんです。
本日はその様子をちょっとだけお裾分け・・・・・
本日のお酒は13種類!
気合い入りまくりです、現在の笹の譽の全てを投入したラインナップです。
まずは開会のご挨拶。
右のちょっとよそ見してる(笑)のがササイヤスオこと笹井康夫さん。
19BYより蔵に入り、20BYより杜氏として笹井酒造を牽引しています。
野沢菜漬けと、塩いかと胡瓜の粕もみ。
スタートから信州らしさ全開!しかもこの粕は笹の譽の酒粕を使っています。
戻り鰹のたたき~自家製ポン酢で~
エッジの立った新鮮な鰹は純米大吟醸との相性が抜群でした。
信州サーモンと長芋のゆずサラダ
生で食べられる信州サーモンと長芋ってめちゃめちゃ合うのね♪
虹鱒の藻塩焼き
臭みのない新鮮な虹鱒の素材をそのまま生かしてます。信州のお酒って川魚にすごく合うんですよね・・・・・
ていざなすときのこの信州鉄火味噌
ていざなすって初めて見た(というか知った)のですが、長さが30cmくらいあるえっらい大きい茄子なんです。何でも伊那天龍村に120年ほど前から伝わる伝統野菜で、「田井澤(たいざわ)さん」という方が栽培を始めたので「たいざわなす」が訛って「ていざなす」になったとか。柔らかくて甘くて炒めるとこのように緑色になるのが特徴で、しかも信州では味噌炒めのことを「鉄火」と呼ぶんだそうで、実に話題豊富な郷土の味覚、でした。
新秋刀魚と夏野菜の揚げ浸し~とろろがけ~
一番下に秋刀魚が隠れています(笑)あっさりしたダシでしっかり旨い♪
信州名物!福味鶏の山賊焼き
もも肉、または胸肉丸ごとの唐揚なのですが信州では「山賊焼き」と呼びます。諸説ありますが、山賊=人から物を「とりあげる」ことから付いたという駄洒落説(笑)が有力なようです。
信州アップル牛のローストビーフ~山葵ドレッシングで~
柔らかくて美味しかった~山葵の利いたドレッシングが好みでした。
実は開始前に、笹井さんと阿久津さんと三人で「なんか微妙に緊張するよね(笑)」って話をしていました。笹井さんは初めての東京での会というアウェイ感、阿久津さんはそんな笹井さんをお迎えしての緊張感、そして僕は笹井さんと初めて呼吸を合わせる未知数感、そんな感じだったのかも知れません。・・・・・まぁ、全ては杞憂に終わりましたが(笑)
初めはかなり硬かった笹井さんも中盤辺りからは真面目な中にいつもの天然(笑)と裏話も混じり、お客さまからは大受け(みんな笑い過ぎ・・・!笑)だったことも付け加えておきます。
松本銘店の味!榑木野(くれきの)そば~お椀仕立て~
これも松本の人にはお馴染みの丁寧に打った蕎麦、腰の強さが印象的でした。
巨峰とシャインマスカット
瑞々しくて美味しい~~~清涼感たっぷりの味でした。
あ、お酒のことにも触れておきますね(出品順ではありません)。
1.純米大吟醸 直汲み 生
2.純米吟醸 直汲み 生 (ひとごこち×協会9号)
3.純米吟醸 直汲み 生(ひとごこち×長野酵母D)
4.純米吟醸 風穴貯蔵酒 生
5.特別純米酒 直汲み 生(美山錦)
6.特別純米酒(秋・生詰)
7.純米酒 80% 生
8.本醸造酒 無ろ過 生
9.普通酒 風穴貯蔵酒
10.どぶろく
11.梅酒(純米酒仕込み)
12.純米吟醸 美山錦 生 23BY (こだまSP)
13.純米 80%精米 生 22BY (こだまSP)
今回の僕自身の目標は、笹井さんの酒造りに対する熱い想い、そしてストイックで真面目な中に漂う天然でお茶目な笹井さんの人柄を伝えることでした。その意味では大成功な会だったと思っています(伝わったよね?笑)。とにかくね、お客さまの暖かい応援の気持ちが会場いっぱいに溢れていて(涙)有り難くて嬉しくて、そんな会でした。
笹井さんがやろうとしていること、実に不器用で非効率で傍から見たら無駄に見えることもたくさんあると思うんです。でも彼の中ではきちんと理屈が通っているし、「大変」は自分の気持ち次第ってことも理解しているし、まぁ意外に楽しそうだし(笑)
僕は県外で唯一笹の譽を扱わせていただいている地酒屋として、「ササイズム」をよりしっかり飲み手のみなさんにお伝えしていきたいとあらためて思うことができました。
楽しかったね!笹井さん、阿久津さん!
来年も、きっと、必ず・・・・・
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Who is ササイヤスオ?~笹の譽・ササイヤスオの真髄に迫る~@海山和酒なるたかさん
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