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雄町サミットに参加しての雑感。

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昨日の雄町サミット、実はなかなか機会に恵まれず9回目にして初めて参加させていただき大変勉強になりました。うちの店、福島酒と長野酒が多いこともあって雄町酒、少ないんだよね。外ではかなり飲んではいるものの、このような機会はなかなかないので本当に勉強になりました。

 

出品酒195種類+α、全てきちんとテイスティングしました。ひとつひとつの感想は期待しないでください。だってお酒は好みだし、僕が美味しいって言ってもそれがこれを読んでくれている貴方様に必ずしも通じる訳ではないから、ね。

 

第一部終了後の優等賞発表&講評を聞いていろいろ思ったことがありました。

 

まず審査の前提として、「雄町という米の特性をきちんと表現できている」ことと「醸造や管理の過程で間違いのないもの」ということを重視して審査をしているとのこと。

 

これ、一般の方には難しい話なんですが審査する先生たちのレベル、言い方を変えると「醸造(管理も含めて)というものを完全に理解できている舌」って結構な高レベルでして、僕らが「これは美味いねぇ、いいねぇ」という話とはそもそものベクトルが違ったりする訳なのです。

 

要するに僕らが美味しい、と感じても醸造学上の欠点があればそれはダメな酒、となってしまう訳です。

 

なので例えば僕のテイスティングはどうしているかというと「醸造レベルで素晴らしいお酒」と「美味しい、売りたくなるお酒」という二つに分けて評価をして区分けをしています(もちろん両方を満たす酒もあります)。もちろん今回優等賞を取ったのは前者が多かったことは言うまでもありません(うちのお酒のほとんどは後者・・・笑)。

 

そこら辺が難しいなぁ、と思うのです。山廃系で酸がしっかりした酒や香り系でジューシー(一般受けしやすい)な酒など、個性のある酒が選に漏れがちなので、特に日本酒初心者には分かりづらい結果になるような気がします。

 

だから一般の飲み手がこの優等賞結果を見て実際に飲んでみても必ずしも自身の好みとは一致しなくてもあまり気にしないで欲しいと思います。「ええっ、これが優等賞?」と驚く人もいるだろうし、「そうかこれが美味しい雄町なのか・・・私には理解できないけど勉強しなくちゃ」なんて落ち込んじゃう人もいるだろうし、まぁ違ってて当たり前なのですのであまり気にしないでね。

 

と書いていて気がついた。全国新酒鑑評会も同じなんだよね。そう、どうしても極めた人間が選ぶとこうなっちゃうんですよね。では誰が選べばいいの?と言われると困っちゃうけど・・・(苦笑)

 

故に選者が変わったら結果も変わるのです。もしフツーの飲み手が選者になったら真逆の結果もあり得るし、でもそれは先生方から見たら「雄町や醸造を理解していない人が選んだ結果」って笑われちゃうとは思いますが(笑)

 

要するに、造り手の目指した味が選者それぞれに雄町らしい、美味しいと思われれば結果としてよい評価になる訳で、今回選に漏れた酒の全てがイマイチな酒という訳ではないのです。雄町を使って雄町らしい酒を造ろう!という蔵もあれば、雄町を使って(雄町らしさはさておき)とにかく美味い酒を造ろう!という蔵もある訳で。あ、醸造過程や後処理が酷いお酒(いくつか有った・・・)は論外ですけどね。

 

何というか、優等賞を取ったお酒の「全てがときめきますか」と言われれば「そうでもなかったよ」と言いたい訳で。

 

でも雄町をきちんと広めようと努力している岡山県や雄町に関わる方々の気持ちを考えるとこれは極めて正しい方向性な訳で。

 

だからもし変えるとしたら優等賞の他に「一般受け部門」とかを併設するしかないのかな、と僕は思います。まぁ、要らんか(笑)

 

ところで興味深かったのは「雄町らしさとは何でしょう」と質問された先生方の中にも微妙な意見の個人差があったこと(笑)みんな人間らしくて素敵でした。

 

以上、あくまで個人的な雑感でした。

このような貴重な機会を設けてくださった関係者のみなさまのご尽力に感謝いたします。

 


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